目覚めると…気がつくと…意識を取り戻すと…
そこは島であった。
感覚が…おかしい。
五感が…変だ。
確かな事は…自分は、島にいる。
そんな感覚に取り憑かれ、島を見渡しているのは自分だけでは無かった。
何人かの人間が島に生きていた。
否、生き残っていた。
彼等は自分と同じ豪華客船に招かれた人々。
沈むはずのない客船が沈んだ。
打ち上げられた数名の命・・・男と女。
彷徨い徘徊している内に出逢いを重ねる人々。
罪を隠す女
恨みを隠す男
悲しみを隠す男
狂気を隠す女
何も隠さない男
そして、企みを隠す男…
一つ一つ剥き出しになっていく彼らの隠された過去。
そして、彼等は知る。
この島に流れ着いたのではなかった…。
客船は沈没したのではなかった…。
「俺達は、沈没させられ!流れ着かされたのだ!この島に!」
この島は、色を失った、地図にない島。そして、大きな大きな…陰謀渦巻く島。
彼らは、なぜ、集められたのか。
心の奥底に巣食う闇を抱えて生きてきた彼らに、魔の手が近付く…。